2026年のスタート~阪神・淡路大震災のあの日から31年目の日に~

 あれから31年、今日は、阪神・淡路大震災のあの日のことを静かに思う一日を過ごしています。大きな揺れを感じただけで、直接的な被害は何もなかったのですが、電車はとまり、電話がつながらず、テレビから流れてくる映像にただ驚いていました。神戸に住む友人・知人の安否が心配でした。
 大きな災害があるたびに、今こうして平穏に暮らしている日々が普通ではなく、奇跡なのだという思いを強くしています。

 さて、2026年の、吃音に関する活動が、本格的に始動したと、まず、報告をしました。
 毎年、1月の3連休、仲間のことばの教室の担当者と、今年1年の計画を立てるこの合宿が年の初めの恒例イベントになっています。4月には82歳になりますが、今年もこうして、楽しくわいわいと現役のことばの教室の教員の仲間と合宿ができたこと、幸せです。

 1月10日(土)の朝早く、東京に向けて出発しました。午後1時から、東京北区の北とぴあの会議室で、仲間のことばの教室の担当者たちと合宿です。集まったのは、10人。遠くは鹿児島から、大阪、愛知、神奈川、栃木、千葉と、僕たちの大事な仲間です。この大事な仲間と、今年のスタートを切れたこと、本当にありがたく、幸せに思いました。
 それぞれの近況報告の後、今年の吃音講習会の会場について、愛知県の奥村寿英さんが詳しい説明をしてくれました。候補地はいろいろ出ていたのですが、日本のちょうど真ん中の愛知県に決定しました。日程は、8月1・2日です。宿泊のホテル、食事処、打ち上げの会場など、周辺のことはすぐ決まっていきます。外堀を固めて、いよいよ内容です。
 吃音に関するトピックスを紹介し、その中から、こんなことに取り組みたいということを話し合っていきました。それは、夏の、「親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会」で取り上げたいテーマ、内容と直結します。
 この吃音講習会は、今夏、第13回となります。よく続いてきたなあと思います。
 合宿前の、まったくの白紙状態から、みんなで話し合ううちに、この激動の時代を生きる、どもる子どもたちに、僕たちは何を伝えたいか、何を知ってほしいか、ひとりひとりの思いを言語化していきました。自分なら何を最優先で伝えたいか、付箋に書き、その付箋を大きな模造紙に貼っていきました。KJ法という手法です。KJ法は、僕が大阪教育大学にいる頃、よく使いました。ひとりで考えるのと違って、いろんな角度から、物事をとらえることができます。突拍子もないことを書いた付箋から、新しい発見が生まれることが往々にしてあります。発想法のひとつです。付箋の内容のジャンルわけをし、小見出しをつけていきました。それぞれに伝えたいことはちゃんと持っているのですが、こうして、みんなで貼った付箋を眺め、エピソードを話し、図解していく中で、みんなの思いを確認することができました。そして、吃音講習会のテーマも、決まっていきました。みんなの付箋には、こんなことが書かれていました。

・どもっているそのままでいい ・吃音は治らない、でも大丈夫 ・あなたはひとりではない、どもる仲間はたくさんいる ・どもっていても、話すことの多い仕事に就いている人はたくさんいる ・生活の中で、声を出す習慣をつけよう ・一人では決して悩まず、誰かと吃音について話そう ・どもりながら明るく元気に生きている人はたくさんいる ・言語関係図や吃音氷山説を理解する ・自分の強みを知ろう ・これまで自分で自分を助けてきたことを思い出し、書き出してみよう ・声を磨くトレーニングを続けよう ・将来の仕事についてできるだけ早く考え始めよう

 今年の吃音講習会のテーマは、ずばり、『どもる君へ いま伝えたいこと』に決まりました。解放出版社から出した本の書名と同じです。このテーマで、参加者と一緒に、子どもたちに伝えたいことを明らかにし、そのために何ができるか、共に考えていきたいのです。
 集まって話を始める前までは、全く何もなかったのに、何の形もないままだったのに、出会い、語り、聞き、しているうちに、形になっていきました。僕は、このことがとても不思議で、おもしろいなあと思います。話し合いは、会場が使える午後10時まで続きました。会場を出て、近くの喫茶店で続きの話をしました。不思議な不思議な空間です。
 翌日も、朝9時から始まりました。どうしても都合がつかず、今日だけ、日帰りで遠く大阪から参加した仲間もいます。以前、吃音親子サマーキャンプの小道具を届けに神奈川県から来てくれたスタッフがいたこと、今年の吃音親子サマーキャンプにも、初日だけ参加して見本の劇上演に参加して宿舎をあとにしたスタッフがいたことを思い出しました。こんな人たちに囲まれて、僕は活動を続けることができているのだと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 午後には、吃音講習会の顧問である、国立特別支援教育総合研究所の牧野泰美さんも合流してくれました。牧野さんにも、「牧野さんが、どもる子どもたちに今伝えたいことはなんですか」と尋ねました。牧野さんは、即、「自分でコントロールできないことは、諦めるというか、放っておく。コントロールできることは、がんばること」だと言いました。その場にいたみんなは、大きくうなずきました。吃音は治らないことは、世界中、誰もが認めざるを得ないことです。それなのに、なんとか治そうとしたり、少しでも改善しようとしたりする人たちがいます。それが、どもる子どものニーズであり、親の願いだということを大きく前面に出して。そうではなく、吃音を否定せず、認めた上で、自分でできること、コントロールできることを共に取り組んでいこうと伝えたいです。話し合いは、夜の10時まで続きました。よくこんなに長い時間、話せるなあと毎年、感心するのですが、話は尽きません。
 夏の吃音講習会、ぜひ、ご参加ください。詳しいことは、順次、このブログやホームページで案内していきます。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/01/17

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