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代表挨拶
「吃音(どもり)は治せる」「吃音の改善はできる」「吃音のコントロールはできる」
このような情報があふれています。50年以上も前の、DAF(聴覚遅延フィードバック)やメトロノームなど器具を使った訓練や、横隔膜を鍛える意味のない呼吸訓練も続いています。アメリカ言語病理学のバリー・ギターの流暢性形成技法「ゆっくり、そっと、やわらかく」の発声法は、1903年に始まった、伊沢修二の楽石社の方法とまったく同じで、多くの人々が日常生活で使えずに、失敗してきた方法です。
近年、脳科学、遺伝子学などの発展で、吃音の原因が解明されたかのような研究論文が見られます。他の病気や障害とちがって、日本でも海外でもどもる人の多くは病院や研究所などにあまり行きません。病院や研究所の数少ないデータをもとにした論文に、エビデンス(科学的・統計的根拠)があると私には思えません。吃音の原因もメカニズムもまだ十分に解明されていないと考えるのが妥当でしょう。また、仮に脳や遺伝子に吃音の原因が特定されたとしても、治療や問題の解決には役に立ちません。吃音と向き合うには、科学的な知識も必要ですが、大勢のどもる人の体験や、どもる人が語る物語をもとにした知識、知恵、哲学が必要だと私は思います。
私は、1965年の秋、どもる人のセルフヘルプグループ・言友会を創立し、10年目に「吃音者宣言」文を起草しました。1986年、第一回世界大会を開催し、国際吃音連盟の礎をつくりました。吃音親子サマーキャンプを31年間続け、たくさんの子どもたちとつき合ってきました。大阪教育大学などの大学や多くの言語聴覚士養成の専門学校で「吃音」の講義をしてきました。私の57年の活動をもとに、吃音について役に立つ情報や知識、多くの人の経験を紹介します。
吃音と上手につき合うことを一緒に考えていきましょう。
2023年春 日本吃音臨床研究会会長 伊藤伸二
知っておきたい吃音知識
新型コロナウイルスが未知だったため、不安や恐怖に襲われました。対応策が分かり、「コロナと戦う」から「ウイズコロナ」に変わりました。吃音も、世界の吃音研究・臨床の情報だけでなく、セルフヘルプグループで人々が体験を語る中で、吃音問題の本質が分かってきました。吃音と上手につきあうためにも、吃音が社会的に理解されるためにも、吃音の知識を整理します。
伊藤伸二のページ
小学2年秋の学芸会をきっかけに、吃音に強い劣等感をもち、苦悩の吃音人生が、21歳の夏まで続きました。吃音を治す目的の東京正生学院で「どもれる体」になったことで私の人生は一変しました。どもる人の会を創立し、世界大会や吃音親子サマーキャンプを開催するなど、充実した吃音人生を歩んできました。その歩みを、書籍や講演会の記録、論文などを紹介します。
セルフヘルプグループ
自分ひとりで悩んでいたのでは堂々巡りになり、吃音と共に生きる覚悟は持てませんでした。同じような体験をしてきた人たちの中だから、これまで誰にも話せなかった、吃音の苦悩を話すことができました。自分の体験を真剣に聞いてもらえた体験があったから、私たちは新たに人生の一歩を踏み出すことができました。セルフヘルプグループの意義について考えます。
吃音資料館
かつて私が活動していた言友会は、新聞や週刊誌やラジオやテレビなどのメディアで取り上げられました。現在は言友会から離れ、全く関係がなくなりましたが、1965年の言友会創立時から1990年に言友会を去るまで、私が直接かかわった活動について、私が保管していたものを紹介します。その他、「吃音と上手に生きる」ことに関する資料をできるだけ集め紹介します。
吃音の動画
インターネットや書籍で、吃音のネガティヴな情報があふれています。吃音に悩みながらも、吃音に向き合うことで、新しい人生を歩み始め、今、吃音と共に豊かに生きている、日本吃音臨床研究会やNPO法人・大阪スタタリングプロジェクト(大阪吃音教室)の様々々な活動を紹介します。「吃音の原因は何か?」「 吃音は治るのか?」「吃音の就職問題」など質問に答えます。
吃音者宣言
1965年の秋に創立した「言友会」の創立10年目に、私が起草した「吃音者宣言」が全国大会で採択されました。活動の中で、多くの人が元気になり、自分の人生を生き始めました。その成果は文章として残さないと、治すことにこだわった私たちの失敗が今後に生かされないと考えたからです。『吃音者宣言』(たいまつ社)の全文紹介と、反響を紹介します。
吃音ホットライン
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(受付時間:9:00-21:00)