国立特別支援教育総合研究所でのオンライン一日講義
このブログは、僕の近況報告も兼ねているので、今日、こんなことがありました、ということを書きたいと思いながら、別の緊急のできごとがあると、じっくりと落ちついて書くことができず、つい、後回しになってしまいます。今日は、そんなできごとの中のひとつを。
3月6日は、国立特別支援教育総合研究所の第三期特別支援教育専門研修の中の言語障害教育専修プログラムの一日講義でした。国立特別支援教育総合研究所の上席総括研究員で研究企画部長の牧野泰美さんが、毎年、僕を講師として呼んでくれています。牧野さんは、親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会の顧問でもあります。研究所が神奈川県の久里浜にあるので、僕たちは、「久里浜の研修」と呼んでいました。久里浜の研修に呼んでいただいた最初は、30年以上も前のことで、島根県のことばの教室の教員だった大石益男さんが久里浜におられた頃でした。大石さんと僕は同い年です。僕が大阪教育大学の教員で、全国巡回吃音相談会で全国を回ったとき、大石さんは島根県の雑賀小学校でことばの教室を担当されていて、お世話になりました。そこから、大石さんは、久里浜に行かれたのです。
講義が始まる前、牧野さんが、僕を紹介してくれました。そのときに、研修の日の、3月6日が、大石さんの没後30年のちょうど命日だったと聞きました。不思議な縁を感じました。
コロナの前は、久里浜に行って、そこで一日の研修をしていましたが、コロナ以降、Zoomになってしまいました。朝9時15分から午後4時15分まで、90分の講義が4コマという研修会、オンラインで話をしました。対面で、直に、受講者の顔を見て、表情を見て、対話するのが僕は好きで、一番性に合っていると思うのですが、コロナが収まった今も、このオンライン講義が続いています。きっと受講生も、ずっと聞いているのは疲れるだろうなあと思うので、できるだけ、問いかけ、発言してもらって、やりとりをしながら進めていきました。
資料はしっかり用意して、足りないところはその資料で補ってもらうことにして、ライブ感覚で対話を交えながら話をしました。
Zoomは、コロナの最盛期には使いましたが、最近は、ほとんど使いません。使い初めは、慣れないことなので戸惑います。資料を共有したり、音声や録画をオンにしておいたり、1年ぶりの操作でした。質問を受け、それに答え、資料のパワーポイントに沿って説明し、その都度感想を求め、あっという間に終了の4時を過ぎてしまいました。
最後に、ひとりひとり、今回の講義の感想を言ってもらって、集合写真を撮って、終わりました。受講生は、群馬、岐阜、長野、大分、新潟、山梨、岡山と全国バラバラです。それぞれの地域で、僕の話を少しでも伝えてくれたらうれしいなと思いながら、終了しました。
感想の一部を紹介します。
・あの子とは哲学的対話ができるなあ、あの子とは難しいかも、などと考えながら聞いていた。教える教師と教えられる子どもということではなく、対等性を大事にして、関わっていきたい。
・人と人とが出会うということはすごいと思った。伊藤さんが初恋の人と出会ったことでその後の人生が変わっていった。そういう立場の仕事をしているんだという自覚を持っていたい。
・通級教室でできることは、共に、生き方を考えることで、お互いにどうより良く生きるか、対等に話していきたい。
・どもる当事者と、約6時間、初めて話をした。わずかだと思うけれど、当事者の心理が分かってよかった。
・一緒に考え、話していくというこの講義がよかった。対話が好きなんだと 思った。
・「あなたの質問は、つまらない質問だ」と指摘されたことはこれまでなかったけれど、指摘されてよかった。疑問を持ち、丁寧なことばを使い、ことばを大切にすることが大事なんだということがよく分かった。
・横のつながりを大事にしたい。いい仲間をつくっていきたいと思った。
僕にとっても、いい時間でした。対面と変わらない、やりとりの応酬で、脳が活性化されたようです。吃音の話をする時間は、僕にとって、いい時間なのです。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/03/14

