大阪公立大学にゲストティーチャーとして

 昨日は、大阪公立大学・教育福祉学の松田博幸さんの依頼を受けて、松田さんの授業のゲストティーチャーとして参加し、学生に話をする機会をもらいました。20年以上続いているでしょうか。かなり前からの恒例になっています。
 松田さんとの出会いは古く、大阪セルフヘルプ支援センターで活動していた頃、知り合いました。セルフヘルプグループについて議論したり、信貴山で合宿をしたり、冊子「セルフヘルプ」を作ったり、土曜日に電話当番をしたり、一緒に活動してきました。もちろんコロナ前で、各地にセルフヘルプグループが誕生していく時代でもあり、セルフヘルプ支援センターの果たす役割は大きかったと思います。
 オープンダイアローグについていち早く情報を得たのも松田さんでした。斎藤環さんより早かったのではないかと思います。僕は、松田さんから教えてもらいました。その松田さんに呼んでもらい、僕は、僕の吃音の体験、セルフヘルプグループでの体験などを話しています。
 昨日も、松田さんの進行で、僕は自分の体験を話しました。社会人学生もいて、僕の話を3年連続で聞いているという人もいました。「すみませんねえ。いつも同じ話で…」と言うと、話している方はそうかもしれないが、聞いている方は、違って聞こえるし、毎回気づきがあると言われていました。
 僕が話した後に、質問タイムがあります。昨年は、合理的配慮の話題で盛り上がりましたが、今年もいくつかの質問から議論がありました。そのひとつです。
 
 「伊藤さんは、いろいろとつらい、しんどい体験をしてきていると思う。私もいろいろと体験はあるが、このように整理して話せないと思う。なぜ、伊藤さんは、自分の辛い過去のことを話すとき、最近のことのように、いきいきと、明るく話すことができるのか」

 確かに思い出すたびに、腹が立ったり、悔しかったりする思いがよみがえりますが、僕には、やはり伝えたい、知ってもらいたいという使命感に似た思いがあります。今の自分をしっかり肯定できているから、整理して話せるのでしょう。吃音を否定し、どもる自分を否定することは本当につらいものでした。自分と同じような思いをしてほしくないという思いから、僕は話しているのです。
また、僕は繰り返し、繰り返し、何度も、自分の体験を話しています。だから、すでに物語になっていて、講談や落語の演目のようになっているようです。そのときの思いがよみがえって、過去の事ながら、聞く人にとっては最近の出来事のように聞こえるのかもしれません。初めての、おもしろい質問でした。
 このように、いろんなところで話をすると、いろんな質問が出てきます。そんな質問に答えていくことがとても好きなのだろうと思います。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2025/11/29

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