「吃音の夏」第二弾 第10回 親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会 1日目

 「吃音の夏」の前半、大阪を出発して埼玉県大宮で全難言大会、そこから愛知県名古屋市に移動して「第10回親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会」、そこから千葉市に移動して千葉県の合同夏季研修会、と紹介しようとしていたのですが、前半の前半で止まっていました。
 夜8時過ぎに、吃音講習会の会場の最寄り駅「金山」に着きました。先に来ていた仲間たちが迎えに来てくれていて、合流し、明日から始まる講習会に向けて、打ち合わせです。全難言大会の余韻を味わいながら、明日からの2日間を楽しみにしていました。
 7月29日、ホテルのすぐ近くの日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館)が会場です。午前9時に入り、会場設営の準備を始めました。すでに参加者も来られていて、みなさんに手伝ってもらいました。
 実行委員長の奥村さんのあいさつの後、全員が会場を動き回って簡単な自己紹介をして、公式プログラムがスタートしました。
 最初のプログラムは、前日、大宮で発表した千葉市ことばの教室担当者の安田さんの実践発表「吃音のある子どもが幸せに生きるために、ことばの教室でできること」です。「大宮の全国大会で予行演習をしてきました」と、みんなを笑わせながら、始まりました。子どもとの対話場面の映像を流し、安田さんの飾らない、素直な気持ちがあふれた発表でした。その後、僕が進行しながら、参加者から質問や感想を受けました。前日と違ったのは、そこで、たくさんの質問、感想、意見が出たことでした。これでこそ、実践発表が生きてくるのだと改めて思いました。いいスタートでした。
 午後は、僕が基調提案として、「どもる子どもが幸せに生きるために~ことばの教室でできること」とのタイトルで話しました。具体的な取り組みを午前中に安田さんが話してくれたので、僕の話が、参加者に入りやすかったのではないかと思いました。PowerPointを使わず、一気に話しました。
 そして、今回の講習会の目玉のひとつ、どもる人のセルフヘルプグループである大阪吃音教室の公開講座です。今回は、吃音チェックリストをつかって自分の吃音の課題を発見するという、いつもの講座風景を参加者が周りを取り囲む中で行いました。大阪吃音教室の常連のベテラン、初めて吃音チェックリストをするという新人、いろいろな立場のどもる人が、自分のチェックリストを見ながら発言していきます。そして、その発言を聞きながら、気づいたことを質問していきます。自分と比較して「そこは、なんでなん?」と、考えるきっかけをみんなに広げていきます。後の感想で、大阪人のツッコミがおもしろかったという意見がありました。僕たちにとっては、普段どおりの講座での会話ですが、そこまでつっこんで聞いていいのか、みたいに思う人もいたようです。でも、そこまで聞いていかないと、どもる子どもとの対話は成立しないのではないかと思います。表面だけをなでるような話をしているだけでは、吃音の真の課題に触れることはできないと思います。どもる大人が、こうして、吃音チェックリストをひとつのツールとして、対話を続けている場面を実際に見ていただけたことは、今後、どもる子どもと対話をしていくときの参考にしていただけたと実感しました。普段と同じようにしていたと、きっと大阪のメンバーは思っているでしょうが、普段から、しっかりと取り組んでいるからできたことなのだと、僕は、誇らしく思いました。
 夕方からは、グループに分かれて、僕の基調提案についての意見や感想、質問を出してもらうことを目的に話し合いをし、その後全体でふりかえりをして、1日目を終えました。プログラムどおり、本当に8時まで研修をするのだと驚かれた人もおられたでしょう。ただ黙って坐って、講師の話を聞くだけの講習会ではないのです。これが、僕たちのスタイルです。(つづく)

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2023/08/13

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