2004年夏、60歳の僕はかなりハードに動いていました

 「スタタリング・ナウ」2004.9.18 NO.121 で特集した第7回吃音の世界大会での基調講演を紹介してきました。シャピロ博士の講演自体は、昨日で紹介し終わったのですが、最終ページの《編集後記にかえて》を読んで、なんというハードなスケジュールをこなしていたのだろうと我ながら驚き、感心したので紹介したくなりました。
 どれも、よく覚えており、懐かしいです。こんなビッグイベントが立て続けにあったんですね。うーん、当時は若かったなあと思います。若いといっても60歳になっていましたが。2004年、ちょうど今から20年前の僕の夏です。

夏の報告(編集後記にかえて)
 にぎやかだった蝉の声が、いつの間にか涼やかな秋の虫の声にかわっています。季節は確実に移り変わっているようです。殊の外暑かった今年の夏、会員の皆様、読者の皆様にはいかがお過ごしでしたでしょうか。日本吃音臨床研究会はおかげさまで充実し切った夏を過ごすことができました。何人かの会員の皆様とも直接お会いすることができ、うれしく思いました。
 日本吃音臨床研究会の夏は、2冊の本の完成から始まりました。『知っていますか? どもりと向きあう一問一答』(解放出版社)と日本吃音臨床研究会の年報『杉田峰康ワークショップ・生活に活かす交流分析』が本格的な夏の到来を前に完成しました。
 7月28・29日、大阪で全国公立学校難聴・言語障害教育研究協議会の全国大会が開かれました。記念講演は「鞠と殿様」の陽気なお囃子にのって登場した桂文福さん。長い間、続けてこられた人権講演やご自分の吃音のこと、NHKの福祉番組、「にんげんゆうゆう」がきっかけとなった日本吃音臨床研究会や伊藤伸二との出会いなど、参加者を笑いの世界に引き入れていました。伊藤がコーディネーターをした吃音の分科会は、実践発表者も参加者も全員が顔を見合わせるよう、円く座って話し合いました。
 8月1日は、北九州市立障害福祉センターで吃音の講演と相談の集いが開催されました。仕事の範囲をはるかに超えたセンターの言語聴覚士の田中愛啓さんと志賀美代子さんの献身的な好意で毎年開かれています。今年も会場に入りきれないほどたくさんの参加がありました。
 8月3・4日は、大分で九州地区の難聴言語教育の大会。基調講演者は、2001年の吃音ショートコースでワークショップをしていただいた、交流分析の杉田峰康さん。吃音分科会の助言者が伊藤伸二というまたとない機会に、完成したばかりの交流分析の年報を会場に並べることができました。全難言の九州大会の懇親会はいつも盛大に行われます。その交流会で、伊藤は「万歳三唱」を頼まれ、「ばばばばばんざい」と万歳をして、みんなにも「ばばばばばんざい」をしてもらい、大いに盛り上がりました。
 8月6・7・8日は、島根県少年自然の家で、臨床家のための吃音講習会。気さくな梶田叡一・京都ノートルダム女子大学学長の提言を受け、参加者同士、顔を突き合わせ、ゆったりじっくりと自己概念教育について深めることができました。「まっ、いいか」が合い言葉になりました。
 夏のしめくくりは、第15回目を迎えた吃音親子サマーキャンプでした。吃音についての話し合い、作文、劇「飛ぶ教室」の練習と上演、親の学習会など、子どもたちの成長を感じながらのキャンプでした。キャンプから帰ると、吃音ショートコースの申し込みの第一号のFAXが届いていました。実りの秋の到来です。夏の経験をもとに、じっくり温めていければいいなあと思っています。(「スタタリング・ナウ」2004.9.18 NO.121) 

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/04/24

Follow me!