私と『スタタリング・ナウ』 1

 しばらくブログをお休みしました。最後に投稿したのは、1月5日で、それから10日経ってしまいました。6・7日は、ことばの教室の仲間との合宿でした。親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会をはじめ、2024年度の計画を立てました。8日は、第11回東京ワークショップ、9日は、盛岡市で開催された岩手県きこえ・ことば・LD等教育研究会で講演し、その日のうちに大阪に戻りましたが、『スタタリング・ナウ』の編集、入稿と忙しくしていました。それらについては、また、追々報告していきたいと思います。
 今日は、先日、『スタタリング・ナウ』100号の巻頭言を紹介したので、そのつづきです。
 『スタタリング・ナウ』記念の100号は、読者からのメッセージを特集しています。今、改めて読み返してみて、本当に多くの方に支えられてきたことを思います。200号、300号は、いつの間にか通り過ぎていきましたが、100号は特別でした。支えて下さっている多くの方々に感謝です。
 もし、『スタタリング・ナウ』を読んでみたい、購読を申し込みたいと思われたら、ご連絡下さい。郵便振替用紙をご利用の上、年間購読料をご送金ください。
郵便振替 口座番号 00970-1-314142
     加入者名 日本吃音臨床研究会
年間購読料 5,000円
※郵便振替用紙の通信欄に、住所・氏名を明記ください。

 では、100号記念特集に掲載されたメッセージを紹介します。

『スタタリング・ナウ』100号記念特集
   私と『スタタリング・ナウ』

 100号記念の紙面は、ぜひ読者の皆さんからのメッセージで構成したい!いつ頃からか決めていました。たくさんの方からメッセージをいただきました。ありがたいことだと心から感謝申し上げます。とても今回だけでは掲載することができませんので、次号にも掲載させていただくことにしました。急いで締め切りに間に合わせて下さった方には申し訳なく思います。お許し下さい。今回のメッセージをお読みになり、私もと思われた方は是非お書き下さい。大歓迎です。よろしくお願い致します。
 私たちの活動が、多くの方に支えられていることを改めて実感しました。
 なお、お寄せいただいたメッセージの中の「100号、おめでとう!」の部分を省略させていただきました。できるだけたくさんの方の文章を紹介したいためです。ご了承下さい。

あなたはあなたのままでいい
            大谷鈴代 生活の発見会会長(東京都)

 毎号すみから隅まで読ませていただいています。会長の伊藤伸二さんは、ご自身が幼少のときから吃音に悩み、苦しまれたことを赤裸々に語り、同じ吃音の方たちを温かくリードしておられる様子が、紙面の中からひしひしと伝わってまいります。そして、他方面にわたる吃音のご研究と実践には頭がさがります。神経質の症状に悩む人たちの自助グループで活動している私にとって、自助グループのあり方考え方など、学ぶことが多く、はっと気づかせていただくことがたくさんあります。
 大変失礼な表現ですが、伊藤さんとのおつき合いが始まるまで、これほどまで吃音が生きる上での障害になっているという事実は知りませんでした。ずっと機関紙を読み続けているうちに、吃音であることが、実生活上で大きな壁になっているのだと知り、悩みの深刻さが具体的に分かってきました。その大きな壁を乗り越えるために、伊藤さんは吃音についてのさまざまなご研究をされ、数々の困難を乗り越えて、吃音に対する画期的なお考えをうち立てられたのだと思います。
 伊藤さんは、2002年10月号の巻頭言「変わる力」の中で「言語訓練を受けずとも、吃音を否定的にとらえずに、日常生活を誠実に生きれば、そしてそれが充実した楽しいものであれば、自然治癒力は働く。その人の持っている内在する力で、吃音そのものも、考え方も変わっていく」と述べておられます。
 この吃音を神経症に置き換えれば、そっくり私たち神経質者にも通じることです。
 私の所属している「生活の発見会」は、神経症の人たちが森田精神療法の考え方をもとにして学び、実践している自助グループです。森田療法の神髄は、「あるがまま」といわれており、神経質症状の苦しみも自分本来の向上欲も、「あるがまま」に認めて実践していくことだと教えられます。かって私も神経症に悩んでいた時、この症状さえなくなれば、生き生きした生活が送れるはずだと思ったものです。「あなたはあなたのままでいい」なんてとても思えませんでした。しかし、神経症のからくりを学び、症状を治そうとすることは、反対に泥沼に足を突っ込むような、誤った考え方であることが分かりました。
 生活の発見会会員の中にも、かつて吃音に悩んだ人たちがいます。それらの人たちの吃音がすっかりなくなったかというと、そうではありません。考え方が変わり、今ある自分を大事にし、自分の良さを十分に発揮できるようになったことで、あるとき吃音が出ても、それは大きな問題にならなくなったのです。この考え方は、日本吃音臨床研究会が提唱しておられる方向と同じなのです。双方のグループには共通点が多く、これからも交流を続けながら学ばせていただきたいと思っています。

【生活の発見会という、大きなセルフヘルプグループの学習活動は大きな刺激になります。『生活の発見』誌で何度もご紹介いただきました】

視点の拡がり
                      水内喜久雄 無職(愛知県)
 小・中学校、そして就職してからも吃音に悩まされたぼくは、ひとり自分だけの問題としてとらえ、克服しようと努力してきました。もしか、現在みたいに科学的にしかも仲間とともに取り組むことができたら、どんなに人生が変わっていったのでしょう。その姿も見てみたい気がします。『スタタリング・ナウ』は、そんな狭く生きてきたぼくにとって、新たな視点と新たな情報をくれます。だから、楽しみにしているのです。吃音が個性という考え方には少し疑問がありますが、人生の幅を広げ、選択肢を多くする活動の方法をいつも考えています。これからの活動にさらに期待しています。

【吃音体験をもとにした児童書、『けむし先生は泣き虫か』、小学校の授業で、子どもたちとたくさんの詩を読む『こどもと読みたい詩の本』などご著書多数】

オピニオンーリーダーとして期待
                   水町俊郎 愛媛大学教授(愛媛県)
 新聞でいえば社説にあたる伊藤伸二さんの所説から始まる各号を、私は毎号、じっくりと拝読しています。そういう意味では、私は「愛読者」というよりも「熟読者」といった方がいいでしょう。私にとっての最大のメリットは、どもる人の生の声が聞けることです。また、吃音に関するこれまでの「常識」に対して、体験的あるいは論理的に問題提起をされてきましたが、その都度私は、自分の見方の一面性を鋭く指摘される思いがしてきました。これからも吃音問題のオピニオン・リーダーとしてご活躍いただくと共に、その活動の結果を活字として後世に残す努力をお続けいただくよう切にお願い申し上げます。

【私たちの吃音への取り組みを評価し、支え続けて下さる吃音研究者。その実践的な研究は、吃音に悩む人たちに役立っています】

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/01/15

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