新・吃音ショートコース
「吃音哲学 ~吃音の豊かな世界への招待~」がテーマ。
講師を迎えず、吃音を切り口に、どう考えどう取り組めば、より楽しくより豊かに生きることができるかという視点で、生活、人生を見つめ直す場として開催。参加者が今一番知りたいこと、聞きたいこと、してみたいことをリクエストし、それに応える形で、内容・プログラムを組んでいます。
2016年度 第1回 新・吃音ショートコース
・日時:2017年01月21日~22日(土・日)
01月21日(土) 13:30~20:30
01月22日(日) 09:30~16:30
・会場:尼崎市立園田地区会館
(〒661-0953 兵庫県尼崎市東園田町4-12-4)
(現 尼崎市立園田東生涯学習プラザ)
ひとりの課題にみんなで関わりあうショートコース
報告 松本 進
いろんな分野から講師を呼んでのワークショップ形式の吃音ショートコースは 2015年の21回を最後に終了した。今回の「新・吃音ショートコース」は、これまでに学んだいろんな領域を踏まえながら、吃音を切り口に改めて生活、人生をみつめ直す場にしようという集まりであった。あらかじめ決まっているプログラムは、はじめの自己紹介と一日目夜の「発表の広場」だけ、あとは、その場で出された「困っていること」「みんなで話しあってみたいこと」について参加者の考えを出しあった。
なぜ、しゃべれるように?
自己紹介の時の島根のSさん(元教員)のことば。(大阪吃音教室の例会で新聞記者に)「あなたは(若い頃とても重度のどもりだったそうだが)なぜしゃべれるようになったのか?」と聞かれ、その問いに違和感があったと言う。ちょっとしたことばに感じた違和感を手がかりに、いろいろ考えることができた。
残された1回のチャンスに何をする?
高知のNさん(ことばの教室担当)が、小1~小6まで担当してきたどもる子どものことを話した。いよいよ卒業が近づき、個人指導はあと1回だけになった。彼のことはとても心残りだが、最後の時間に何をしたらいいんだろう? この問いかけに、他の参加者からたくさんの提案があった。
「プライドが高い」ってどういうこと?
大阪のOさん(28才)の出した「私はプライドが高いので、すなおに人の意見が聞けない」「自分の考えと違う意見を聞いても取り入れることができない」という悩みについていろいろ意見が出た。
そもそもOさんの場合「プライドが高い」という表現は適切ではないと思われる。では、別の言い方を探してみるとどんな表現になるだろう、ということになり、それに替わる表現をみんなで考えた。
そのほか参加者の要望で歌う時間や、「夕鶴」の台本を使ってプチ芝居などもあり、飽きることのない2日間だった。
〔参加者の感想から〕
・自分の課題をみなさんに考えてもらってスッキリした。今回のように少人数でやることの意義や面白さを感じた。
・今まではすごく早口で声も小さかったが、きょうは「ゆっくり」を意識してしゃべってみた。
・講義やレッスンを受けるとかではなく、自ら考えていく・ことばにしていくというこれまでとは違う参加型のショートコースになった。
・今までは学ぶショートコース。今回は個人の中に落とし込むことをした。参加している人が変わっていく、考えが深まっていく場におれることが楽しい。
・いろんな話題の中で、交流分析や論理療法を「あっ、こういうとこで使えるのか」とわかってよかった。大人のサマーキャンプみたいだった。
・人数が少ないぶん、出された話を他人事でなく自分と重ねて考えることができた。「ゆっくりしゃべる」とか「原稿なしで言ってみる」とか、言われたことをこの場で即、実践してみることができたのでは。
・何もないところからスタートするこういうスタイルが好き。みんなといっしょにどこへ行くのかわからないのを探っていくというのが好き。どこに行くかわからない不安に耐える力が大切。
[大阪吃音教室機関紙『新生』2017年2月号掲載記事を編集]