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2017年度 第28回吃音親子サマーキャンプの報告

・日時:2017年08月18日~20日(金・土・日)

・会場:滋賀県彦根市荒神山自然の家

  (〒522-0047 滋賀県彦根市日夏町字宮前4794番地)

  (TEL 0749-28-1871)


伊藤伸二ブログに掲載された記事などから、「第28回吃音親子サマーキャンプ」報告の概要をまとめました。


吃音親子サマーキャンプは、7月の事前レッスンから始まります。キャンプの大きな柱、芝居のレッスンをまずスタッフが合宿で受けます。それを、初日の夜にみんなに見てもらい、翌日から練習をするのです。

演出家の竹内敏晴さんは、亡くなる2009年の夏も、変わらぬレッスンをして下さいました。その跡を引き継いでくれているのが、東京学芸大学大学院准教授の渡辺貴裕さん。渡辺さんは大学生のときから、このサマーキャンプに関わってくれています。渡辺さんの専門は、演劇の手法を使っての教育実践の研究です。だから、事前レッスンも、お芝居を仕上げるプロセス、他者にどうかかわり、どう声を届けていくかというところにスポットを当ててくれています。


吃音親子サマーキャンプは、吃音についての話し合い、芝居の稽古と上演、親の学習会が3つの柱ですが、子どもには、これらに作文教室とウォークラリーが加わります。

どもる子どもにとって、これらの活動がうまく機能しています。吃音についての話し合いが大好きな子もいれば、作文が大好きな子、それらは少し苦手だけれど、芝居の稽古と上演が大好きな子。ウォークラリーでリーダーシップを発揮する子。それぞれ苦手や得意なことがありますが、バラエティに富んだプログラムなので、一人ひとりがどこかで主役になれるのです。


この年の参加者は124名。近畿や東海だけでなく、遠く北は宮城県から、千葉県、東京都、神奈川県などの関東地方から、南は沖縄県、鹿児島県、大分県、福岡県などの九州地方まで、全国からの参加です。特に、沖縄県からは7名、三重県から12名もの方が参加して下さいました。

スタッフの数が前年に比べて少し増え、48名でした。そのうち、サマーキャンプ卒業生が11名。子どもの時一緒に参加していた卒業生の姉も、卒業生と一緒に参加してくれました。

毎年、このようなキャンプが開催できるのは、スタッフがその場その場で判断して、子どもや親のことを考えてキャンプに集中して下さるおかげだと思います。初めて出会うスタッフなのに、このチームワークのよさ。チーム・サマキャンは、いつも、僕(伊藤伸二)の誇りです。


小学4年生の話し合いの様子を少し紹介します。

どもることを笑われたり、からかわれたりしたという話が出たので、嫌な悲しい気持ちになったのは自然なことで、当たり前だと伝えました。でも、そういうときでも、学校には休まずに行っていたとみんなが言うので、学校に行っていたのは、君たちにどんな「力」があったからなんだろうか、話してもらいました。

このグループには、サマキャン卒業生の消防士がスタッフとして入っていたので、彼に話してもらいました。みんなが驚いたのが、自分の無線連絡が全消防隊員が聞いているという話でした。放送委員の声を、全校生徒が聞いているのとはまた違ったスケールです。それで、笑う人やまねする人間もいるけれど、その人たちに悪気があるわけではないので、あまり気にしないという発言に、みんな納得していたようでした。

子どもたちの話し合いの中に、どもる成人が加わる意義がここにあります。しかし、どもる人なら誰でもいいわけではなく、苦労しながら、悩みながらも、「ちゃんと生きている大人」であることが大事です。苦しいこともあるけれど、大人になると、こんな楽しいこと、いいことがあるよと示せる大人のモデルが必要なのです。


参加スタッフの感想から

・初めてのキャンプ。あっという間の3日間でした。何より驚いたことは、スタッフ・親との区別がなく、本当に対等にかかわる意識がしっかりとあることでした。「一人一人が主役」とか「対等性」という伊藤さんの言葉が、現実に体験できて言葉と意味がしっかりと結びついたキャンプでした。

・これまでに何度かキャンプの話を聞く機会があったので、漠然としたイメージはあったものの、当日は期待と緊張が入り混じったような気持ちでのスタートでした。初めは少し尻込みしていましたが、子どもたちや他の参加者の方に声を掛けたり、話し合いの場などでも積極的に発言したりすることで次第に自分自身も楽しめるようになってきました。みんなが“吃音”という共通のテーマについて考えたり、話し合ったり、劇をしたりと、これまでの人生で味わったことのない貴重な体験ができました。


伊藤伸二ブログに掲載された「第28回吃音親子サマーキャンプ」報告記事は、下記からご覧いただけます。

☆同ブログ2017.08.29「竹内敏晴さんから、渡辺貴裕さんへ、バトンがつながって」記事

☆同ブログ2017.08.30「参加者一人ひとりが主役」記事

☆同ブログ2017.08.31「どもることでからかわれた時の気持ちの分かち合い」記事

☆同ブログ2017.09.01「自己内対話と、自分の声・ことばに向き合う」記事

☆同ブログ2017.09.04「吃音と就労 ―就けない仕事はほとんどない」記事

☆同ブログ2017.09.04「どもりながら、セリフを言い切る子どもたちに温かい拍手」記事

☆同ブログ2017.09.06「どもる子どもや親だけでなく、臨床家も変わる」記事

☆同ブログ2017.09.07「吃音を治そう、改善しようとしないのは、危険思想か?」記事

☆同ブログ2017.09.11「とりあえず言い置く ―価値観は押しつけられない」記事

☆同ブログ2017.09.20「どもる人が吃音親子サマーキャンプに参加する意義」記事



「第28回吃音親子サマーキャンプ」については、下記もぜひご覧ください。

>>サマーキャンプ事前レッスンの模様



>>「吃音親子サマーキャンプ」ページ


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