それぞれにとってのサマキャン~第35回吃音親子サマーキャンプ参加者の感想~
第35回吃音親子サマーキャンプから2週間、季節は確実に移りました。酷暑の後は、台風や秋雨前線の影響を受け、被害も出ているようです。天候不順な中での9月を過ごしています。
サマーキャンプに参加した人たちから、ぽつぽつと感想が届いています。そうだったなあと思えること、へえ、そんなことがあったのかと気づくこと、様々です。お一人お一人にとって、意味のある時間だったことが伝わってきます。たくさん送られてきた中から、ほんのごく一部ですが、紹介します。
○今年は2回目の参加でしたが、改めて、サマーキャンプの心地よい雰囲気を感じました。
経験者としての参加になるため、初参加の方が気持ちよく参加できるようにと思いましたが、他のみなさんの気配りにはとても及びませんでした。
2日目午後の親の学習会では、論理療法の話の際に、息子の話を出しました。心配は尽きないけれど、親としてはそんな気持ちも生じるのかな、それはそれでいいか、と思って、心配する気持ちにとらわれ過ぎないように、少し距離を置いて、自分の心配する気持ちに目を向けていこうと思います。
サマーキャンプの後、息子に来年はどうするかと聞いたら、「行く」と言いました。また来年もお世話になります。(大阪)
○実は、今回のサマキャンは大学のサークルの合宿と被っており、当初はどちらに参加するか悩みました。しかし、サマキャンに参加してみて、改めて自分が帰ることのできる場所があることを知りました。サマキャンに参加してこのことに気づけて本当に良かったと思います。
今年は初めてスタッフとして参加し、今までと違った視点でサマキャンに参加できました。話し合いでは小学5,6年生のグループに参加しましたが、話のなかで彼らの吃音に対する考え方を知ることができて興味深かったです。このサマキャンの場は、どもる子どもに対してアドバイスするようなものではなく、どもりについてみんなで話し合って向き合う場であるということにも改めて気づきました。話し合いでは参加者と一緒に吃音について考えました。私自身、まだまだ就活など悩み事は多く、他のスタッフといろいろ吃音について話したいです。厳しいとは思いますが、キャンプのどこかで、スタッフ同士で話すことのできるフリートークのような時間があればと思いました。
来年もスタッフとして参加してサマキャンという場を作る手伝いができたらと思います。(福岡)
○自宅に帰った後も、濃密な二泊三日の後味を楽しんでいます。
私は今回のキャンプで、自分の時間の使い方を考える機会を得ました。昨年度は子育てや仕事を理由に、自分のやりたいことを後回しにしてきました。ですが、今回、キャンプに参加したこと、そして「モモ」の劇に出会えたことで、自分がやりたいことや自分の幸せに感じることをこれから大切にしていこうと思いました。目先のやるべきことにとらわれたセカセカライフではない、自分らしさを楽しむ時間を過ごせて嬉しかったです。
そして話し合いでは、どもる当事者であるスタッフが多い中、私が話せることはないだろうと思っていました。それは何か役に立つ方法を提供できる自信が無かったからです。ですが、新人スタッフ研修の際に、伊藤伸二さんが「対話はゴールを目指さなくてよい。対話は続けることが大切」と教えてくださいました。そこから気持ちが楽になり、考えたことを言葉に出してみようと思えました。他の人の話を聞くことで、自分に新しい考えが生まれ、それを伝えたくていつの間にか話し合いに加われている自分がいたのにも驚きでした。
大人になってから本音で深い内容を話せる相手はごく限られていましたが、吃音キャンプでは小学生から大学生、自分より2倍くらい先輩の方々までみなさんと本音トークできて、楽しかったです。そんな素敵なみなさんにお会いできて嬉しかったです。
伊藤さんと溝口稚佳子さんが大切にしているものをみせてくださり、体感させてくださり、ありがとうございました。私もまた来年度も事前レッスンから参加したいです。(千葉)
○「居るだけでいいから」と言ってくださった伊藤伸二さんのことばに導かれて10年ぶりに参加したキャンプでした。
幅広い年齢層のスタッフが互いに補い合い、調和し、明るく優しい空気を作り出していて、居心地のよい空間でした。皆、いい表情をしていましたよね。スタッフみんなで力を合わせて、今年もいいキャンプになり、参加者も楽しんでくれていて良かったです。(島根)
○最後に初参加の男の子が言った「自分以外の吃音の子に会えて良かった」という感想に自分の子どもの時の姿が重なり、思わず涙が溢れました。自分がずっと欲しかったのは仲間だったのかもしれない、今は仲間がたくさんいてとても幸せだということに改めて気づきました。(兵庫)
○今年は2回目の吃音キャンプに参加させて頂き、ありがとうございました。
吃音キャンプに行くと、皆さんが挑戦していく姿が見え、悩んでいることを質問するといろいろな考えや体験談を教えてもらえ、気持ちが軽くなります。
吃音キャンプに行くだけで、親の役目を果たしていると、私も心配しすぎず、暖かく見守っていきたいです。
息子なりに去年より積極的に質問したりしていたようで、自分のペースで少しずつ変わろうとしている姿に成長を感じました。高校2年生になり演劇部に入りましたが、まだ役はもらってないようなので、吃音キャンプで役ができて楽しかったと言っていました!
息子の作文を演劇の公演の後に読んで頂き、彼が思っていた心の葛藤や、変わろうとしている思いに泣きました。みなさんの姿を見て刺激を受け、去年から吃音キャンプに参加して、本当によかったと思いました!(大阪)
○今回参加して本当に驚いたのは、2年前途中で帰ろうとした青年が参加をしていたことです。2年前、気がかりのまま…どうしているかな…と思って終わった吃音キャンプ。その答えの途中経過を見せてもらった感じです。
何か結果が出ていないと不安になる世の中ですが、上手くいかないこと、参加しないこと、話さないこと、書けないことを実感するのは、誰にとっても大事な経験なんですね。
この場を提供するだけ…人を変えようとしない…という伊藤伸二さんの言葉を思い出していました。2年を経て、こういうことか…と実感ができました。2年前にいろんな思いがあったんだろう、その中で生まれた何かが、参加しようという思いにさせてくれたんだな…と。
全てのプログラムに参加し、帰りのバスに乗る際には自然に顔が上がって姿勢が変わっていました。青年のその姿を見て、信じて待つことの大事さと、吃音親子サマーキャンプの魅力を改めて感じました。
言語聴覚士として、正直伊藤さんの考え方は少数派です。流暢性形成法やリッカムプログラムが当然の流れとしてあります。しかし、いろんな吃音の方がいるんだから、いろんなSTがいてもいいと思っています。論理療法などをもっと学んで、少数派でも自分で納得のいくSTとして吃音に向き合いたいと感じました。
1つ面白いなと思ったのは、自分の吃音への感じ方の変化です。吃音キャンプ参加1回目は、どもる人が多くて疎外感を感じる少数派の体験でした。STの仕事上、どうしても吃音症状に注目をしている自分がいました。2回目は、吃音の症状に慣れてきますが、症状が重いと少し構えるので自分で意識的に慣れさせていくような体験でした。3回目の今回は、無意識下で全く吃音の症状や随伴症状が気にならなくなりました。不思議ですね。一緒にかかわっていくと自然に気にならなくなる、当たり前になるんですね。人と出会い、触れあうということは吃音が気にならなくなることにつながると思いました。毎回ながら、いろんな感動や考えさせられることが多い吃音キャンプでした。(沖縄)
○今年で5回目の参加になりますが、サマキャンは年々「第2のふるさと」のような場所になってきています。仲間に再会できてホッとするだけでなく、皆さまの成長を知ったり、悩みに共感したり、子どものことや自分自身のことに向き合ったり、とても貴重な機会だと感じています。
私自身40代になり、日々仕事に追われる毎日ですが、サマキャンは吃音について学ぶだけでなく、子育てや自分自身の生き方についても振り返ることができました。親の学習の時間で話題になったABC理論もとても興味深く(以前に学んだはずですが、忘れていたかもしれません、苦笑)、吃音だけでなく日々のストレスとの向き合い方を考える上で大変勉強になりました。
息子からは、「今年も参加できてよかった」と聞いています。中学1年生になり、部活や塾で忙しく、途中参加になりましたが、吃音のある仲間と毎年会えることは本人にとって大きな刺激になっているようです。ひとつ心残りだったのは、ウォークラリーで頂上まで行けなかったことだそうです(笑)。(神奈川)
最後に、今回参加していないですが、ずっとサマキャンのことを気にかけてくれている人からの感想を紹介します。芝居で使ったカメ(カシオペイヤ)の小道具を、サマキャン前に送ってくれた人です。
○サマキャン、お疲れ様でした!そして、ご報告もありがとうございます!
場所が変わっても、あの温かい仲間の、やわらかい空気の、素晴らしいサマキャンになったようで何よりでした。
伊藤伸二さんのブログも読んでいます。みなさんの笑顔や真剣な良い顔が見えるようです。
サマキャン、万歳。(神奈川)
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/09/09









