第35回吃音親子サマーキャンプ 2

 2日目の朝、サマキャン卒業生のスタッフを中心に若いスタッフが子どもたちに声をかけ、つどいの広場で、朝の遊びを始めていました。みんなも集まってきて、ラジオ体操をして、今日一日の予定を確認しました。
 朝食は、7時半から。活動4の作文教室は、9時始まりなので、この時間は珍しくゆったり気分を味わいました。あちこちに、話の輪ができていて、話が弾んでいるようでした。 作文教室の中研修室は、ぎっしり満席状態でした。もうひとつ大きい大研修室の方がよかったようです。話し合いと同じくらい大切にしている「書く」時間、子どもも親も、スタッフも、吃音について、どもる自分について、考え、作文を書きます。ひとりで吃音に向き合う時間です。話し合いのときに元気だった子が、作文の時間、苦戦している姿もあります。少しお手伝いはしますが、基本は自分ひとりで向き合うことを大切にしています。書けない自分と向き合うことも、大切だろうと考えています。会場の関係で、作文の時間を1時間しかとることができず、あわただしく研修室を出ました。続きを部屋で書いて、最後に提出してくれた子もいます。
 作文と同時並行で、参加歴1~3年のスタッフのための、吃音親子サマーキャンプ基礎講座をしました。吃音親子サマーキャンプが大切にしていることを肌で感じ取ってもらうため、2日目のこの時間に設定しています。吃音親子サマーキャンプのプログラムの3つの柱、話し合いと演劇と作文について、その意義を確認し合いました。このことは、毎回、全員で共通のものとして持っておきたいことです。
 もうひとつ、同時並行で行っているのが、午後のウォークラリーの計画でした。昨年までは、何度も登っている荒神山なので、コースは熟知していましたが、今年は初めてのところです。ウォークラリーの担当者は、朝早く起きて早朝登山、下見をしてくれました。子どもたちの状態に合わせて、コースを慎重に考え、自然の家の所員さんとも相談して、コースを決定しました。命を預かっているという基本を忘れず、無理せず、楽しいコースとなりました。
 活動5は、話し合いの続きでした。
 昼食の後、12時半からの活動6は、子どもと親が別々のプログラムになります。子どもたちは、グループごとに演劇の練習で、親は学習会です。今年の劇は、ミヒャエル・エンデの「モモと灰色の男たち」。初日の夜、スタッフが演じたのを見ているので、話の流れは大体、みんな分かっています。長い劇を3つに分け、それぞれ練習です。声を出し、からだを動かし、劇の内容につながるエクササイズをして、読み合わせに入ります。初めは、みんないろんな役を試しにやってみます。進行は、グループごとにお任せしているので、どんなふうに進んでいるのか、僕は知りません。でも、いつでも、ちゃんと最後には仕上がっています。
 親の学習会は、僕の担当です。子どもたちが、劇の練習とウォークラリーに行っている間、みっちりと学習します。質問を出してもらい、それに答えることから始めました。ついつい、話が長くなってしまう傾向にあるので、今回、話したかったことを黒板に書いておきました。
 1.吃音を知る 把握することの大切さ
  今から60年前の1965年、吃音を治そうとせず、吃音と共に生きることを選んだ。
 2.吃音者宣言 1976年
 3.対処能力=武器 アサーション、ナラティヴ・アプローチ、論理療法など
    学び、身につけることで、対処能力とする
 4.対話の大切さ オープンダイアローグ
 5.日本語のレッスン

 中でも、論理療法は、親にも子どもにも知っておいてもらいたいと思うものです。いくつか例を挙げて説明しました。論理療法は、ABC理論ともいわれ、考え方の練習方法です。A(できごと)があって、C(結果)があります。でも、AがCを生むのではなく、その間にB(受け取り方、考え方)があると考えます。たとえば、A=人前でどもって笑われてしまった。そして、C=落ち込んだ。そのときのBは、人前でどもることは恥ずかしいことで、絶対いけないことだ、です。でも、それが、人前でどもったっていいじゃないか、に変わると、Cの落ち込みは小さくなります。Bの考え方を、やわらかくしようというのです。

 子どもたちは、午後3時半から、ウォークラリーに出発しました。結構けわしい道だったようで、帰ってきたとき、子どもたちは元気でしたが、スタッフの方が疲れ切っていました。

 夕食の後、子どもたちは劇の練習、親はフリートークでした。今回、お父さんの参加が10人でした。部屋から大きな笑い声、話し声が聞こえてきます。にぎやかなお父さん部屋でした。お母さんたちの部屋は、和室が二間続いた部屋でした。修学旅行みたいで楽しかったようです。

 すべての公式プログラムが終わってから、スタッフ会議です。話し合いの様子、作文教室での様子、劇の練習の様子、ウォークラリーでの様子が、次々と語られ、スタッフがしっかりと、ひとりひとりの子どもたちの様子を把握してくれているのが伝わってきます。安心して任せておけるスタッフたちです。
 長い二日目が終わりました。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/09/04

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