第35回吃音親子サマーキャンプ 1

 長い間、吃音親子サマーキャンプの会場として使わせてもらっていた滋賀県彦根市の荒神山自然の家。所長や所員の誰よりも、私たちの方が昔から知っているというので、かなり自由に使わせてもらってきました。年に一度、「おかえりなさい」と言っていただける会場でした。
 今年から、会場が変わって、大阪府立少年自然の家での開催。ここは、全館貸し切りだと360人が宿泊できる大きな会場です。僕たちが吃音親子サマーキャンプを開催した8月21・22・23日は、7~10の団体が使用することになっていました。食事の時間は2部制、入浴の時間も団体ごとに1時間と決められており、プログラム内容は変わりなかったのですが、細かい時間調整が必要でした。公的な機関とすれば、当然のことでしょう。
 最寄り駅は、水間鉄道の水間観音駅。水間観音の最寄り駅でもあり、風情のある、レトロな駅舎です。駅から自然の家までは、水間鉄道バスをチャーターしました。路線バス仕様ということで、2台お願いしました。とても親切な運転士さんだったようで、運転はもちろんですが、乗客を案内したりさばいたり、慣れないところを補っていただきました。

 バスに乗ること20分で、自然の家に到着です。中に案内して、宿泊棟であるB棟まで進んでもらいました。サマキャン初のことですが、ここで、参加者受付をしました。今までしたことがないというのがむしろ珍しいのかもしれませんが、使用している団体が多く、初参加の子どももいるので、名前や顔が分からない子もいます。そこで、名札をつけてもらいたくて、受付をして、しおりと名札を渡しました。これでお互いに、吃音親子サマーキャンプに参加する子だということが分かります。
 全員が集まるオリエンテーションホールが使えるのが午後2時半からで、着いていきなりのフリータイムでした。そして、僕たちスタッフは、スタッフ会議をしました。その日、初めて顔を合わせるスタッフもいます。自己紹介をして、取り急ぎ、初日のプログラムを確認しました。貸し切りになった宿泊棟のB棟の2フロアーにある談話室いっぱいに、スタッフが集まりました。常連のスタッフ、今回初めてのスタッフ、久しぶりのスタッフ、みんなこれから始まる2泊3日に、いろいろな思いをもっていることが伝わってきます。スタッフ同士、仲がよく、話が弾んでいます。スタッフのためのキャンプ? と思える瞬間です。みんなの笑顔を見ながら、いいスタートが切れたなと思いました。
 スタッフ会議中、若いスタッフが、ときどき子どもたちの様子を見回ってくれました。初参加の子が困っていないか、仲良くしているか、と見回ってくれましたが、問題はなかったようです。
 2時半から、オリエンテーションホールという赤い絨毯が敷かれた、客席が階段状になった円形ホールで、入所のつどい、開会のつどいをしました。参加者を紹介しましたが、家族がばらばらになって、子どもは子ども同士、親は親同士が集まり、懐かしい再会をしているリピーター組、ドキドキしながら座っている初参加の人たちがいました。
 活動1は出会いの広場です。毎年恒例で、千葉のことばの教室担当者の渡邉美穂さんが担当してくれました。円形ホールを意識し、上手に使いながら、たくさんのゲームを用意してくれました。徐々に参加者の表情が柔らかくなっていくのを感じました。子どもも大人も必死になって、エクササイズやゲームに取り組んでいました。
 夕食は5時から、セルフサービスで、配膳していきます。品数も多く、おいしいと、好評でした。
 活動 2は、吃音についての話し合いです。子どもたちは、小学校低学年、高学年、中学生、高校生の4グループに分かれ、親は3つのグループに分かれました。それぞれに、どもる成人とことばの教室担当者や言語聴覚士などの臨床家が、ファシリテーターとして入ります。特別な導入はなくても、話し合いが始まるのが、吃音親子サマーキャンプです。吃音についての話し合いは、吃音親子サマーキャンプの大切なプログラムです。
 活動3は、合宿で演劇のレッスンを受けたスタッフによる上演です。事前レッスンと呼んでいるこの合宿、今年は7月11・12日、大阪市内のお寺で行いました。25人が集まり、わいわいと賑やかに合宿で演劇の練習をしました。このとき、演出指導をしてくれるのが、学生時代から吃音親子サマーキャンプに参加している、吃音とは全く関係のなかった、東京学芸大学教職大学院准教授の渡辺貴裕さんです。竹内敏晴さんが遺してくれた脚本をもとに、構成・演出してくれます。忘れないよう、映像として残してくれるのが、大阪吃音教室の井上詠治さん。みんな、その映像を見て、サマーキャンプまで復習をしてくるのです。円形ホールに慣れていないところもありましたが、参加者に、今年の演劇はこんなのだよと伝えることができました。子どもたちも、何の役をしようかなと考えながら見ていたようです。
 1日目の終了は午後9時。子どもたちや親は入浴、そして就寝。スタッフはスタッフ会議で1日を振り返りました。
 長い1日が、無事終わりました。それぞれの部屋では、話し声が聞こえるところもあります。明日もあるよーと思いながら、僕たちも休みました。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/09/02

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