中日新聞 吃音と生きるあなたへ(下)「不便だけど不幸ではない」 「宣言」胸に自分の道を行く
「吃音者宣言」採択から50年、中日新聞が、メインタイトルを「吃音と生きるあなたへ」とした特集記事を、3回連続で組んでくれました。
その記事の3回目、紙面の中に大きな文字で存在感があるのが、次の2つの見出しです。
「不便だけど不幸ではない」
「宣言」胸に自分の道を行く
2人の当事者が紹介されています。
一人は、僕が静岡のわくわくキャンプに講師として参加していたときに出会った定月さんです。どもるたびに「すみません、すみません」を連発していた彼女に、僕は、「そのすみませんをやめよう。来年まで、そのことを意識して過ごそう」と言いました。そして1年後、静岡のわくわくキャンプで再会したときの彼女は、「すみません」を言わなくなっていました。どもってはいるけれど、「すみません」と言わず、しっかりと前を向いていました。随分と印象が変わりました。今回の記事で、自分のしたかった仕事に就き、好きな歌とダンスにも打ち込んでいると知り、うれしかったです。がんばっているとの記事に安心しました。
そして、もうひとりが、吃音親子サマーキャンプに小学2年生から高校3年生まで連続して参加し、昨年、卒業した志門君です。志門君は、サマーキャンプに初めて参加して、悩んでいるのは自分だけじゃないと生きる勇気が湧いたと話していました。今、自分の夢に向かって勉学に励んでいます。「吃音は不便なこともある。でも、不幸ではない。吃音者宣言のように生きられれば、幸せな人生を送れると信じている」と話しています。吃音親子サマーキャンプで、しっかり学んできたことが分かります。
その志門君のお母さんが、今週末、愛知県犬山市で開催する「第13回親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会」に、特別ゲストとして参加します。志門君の幼いときから今まで、いろいろなことがありました。そのエピソードを追いながら、そのときどきの困難をどう乗り越えてきたのか、吃音と共に生きるを選択したのはなぜか、それが途中で揺れることはなかったのか、それはなぜか、など、親子の物語を対話を通して紹介します。めったにない企画です。
新聞に掲載された2日後に、特別ゲストとして登場するという偶然に、縁を感じます。
第13回親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会の詳細は、日本吃音臨床研究会のホームページをご覧ください。
「吃音と共に豊かに生きる」を選択した僕たちの前に、「吃音者宣言」は、確かに、しっかりと立ってくれています。
「吃音者宣言」から50年。言友会創立10周年記念全国大会での採択のあの思いを忘れず、吃音と共に豊かに生きる道を、仲間とともに、楽しく歩いていきたいです。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/07/31


