第9回新・吃音ショートコース、無事、終了しました

 しばらく、ブログやFacebook、お休みしました。今日、報告する、新・吃音ショートコースの準備、当日、後片付けなどで、ブログに向かう時間がとれませんでした。今日からまた、続けます。

 6月20・21日(土・日)、寝屋川市立市民会館で、第9回新・吃音ショートコースを開催しました。地元の大阪吃音教室のメンバーの他に、初参加の人が2人、また遠く千葉県や埼玉県、三重県からも参加がありました。
 吃音について、自分自身について、真剣に考えようとする人が集まり、考え、語り、聞くという、とてもいい時間を過ごしました。僕は、やっぱり、このような場が大好きなんだな、セルフヘルプ型の人間なんだなと、再確認しました。

 新・吃音ショートコースは、自己紹介とショートコースのプログラムづくりから始まります。予め、参加申し込み書にも、吃音に関する質問やプログラムのリクエストを書いてもらっています。ふと、この場で浮かんだことも含めて、出てきたリクエストをホワイトボードに書き上げていきました。

・吃音と恥の意識について考えたい。自分の経験から、吃音の悩みと恥の意識は深く関係するのではと思う。
・ひとりひとりの吃音の物語をじっくりと聞きたい。
・吃音とは何なのか、吃音をもつ自分と向き合うとは何なのかを学びたい。
・参加しているみんなが吃音とどのように向き合っているのか知りたい。
・病院を受診したことがあるが、効果はなかった。やはり、改善は難しいのか。
・吃音がものすごく重くて、とても消極的な人がいる。どう関わればいいか、ヒントがあればほしい。
・文章を書くコツについて知りたい。
・声磨きについて知りたい。実際に声を出してみたい。
・来年は社会人になる。大学生とは違う生活になると思うが、どんな心構えでいたらいいか、体験談を聞きたい。

 どの時間もよかったのですが、特に、「吃音と恥」について考えた時間は、おもしろかったです。「恥」の意識は、吃音を考える上で重要なキーワードです。でも、これまできちんと取り上げてこなかったような気がします。今回、みんなで考えられてよかったです。

・「恥ずかしい」と「恥」、同じ漢字を使う、よく似たことばだが、その意味はずいぶんと違うのではないか。
・「恥ずかしい」という気持ちは消せないし、消す必要もない。
・でも、その恥ずかしいという気持ちから、行動に影響が出ると、困ったことになる。
・「世間」を手放すことが大事だろう。
・世間、他人、他人の目、世間体、それに振り回されることのない自分でいたい。
・恥の意識が、消極的な行動を誘発し、吃音の悩みの大きな要因になった。
・行動に影響を及ぼす恥の意識を手放すとは、「どもることは恥だ」という世間体を手放すことである。
・世間や人の目を気にするのでなく、自分は自分である、と思うことが肝心である。
・吃音の理解、合理的配慮は、世間、人の思惑に頼らず、対等の関係で話し合い、結果として生じるものだ。
・理解が得られず、配慮を受けられない場合もある。それでも最悪でなく、不便なだけだ。

 また、吃音が重くて、消極的な人に対して何ができるか、については、僕が大阪教育大学の教員だった頃に出会ったある図書館員の話をしました。僕の恩人ともいえる人です。職場の上司から吃音を治すように言われて、大阪教育大学にいた僕のところに、その人はやってきました。「君の吃音を、僕は治すことはできない。しかし、君の消極的な行動を君自身で変えていくことのお手伝いはできる」と伝え、彼との面接が始まりました。彼の消極的な生活習慣はなかなか変わりませんでした。彼が行動を大きく変えるきっかけとなったのは、一本の電話でした。かけざるを得ない状況に追い込んだのは僕でしたが、実際に電話をかけたのは彼でした。ひどくどもったけれど、目的は果たせた、このことがきっかけで、彼は変わっていきました。自分を変えたいとう彼の熱意が、彼自身を変えたのだと思います。
 彼の話をしながら、その吃音の重い、消極的な人とまず、徹底して話してみることを提案しました。今の自分を、今の状況をどう思っているのか、今後どうしたいと思っているのか、を聞くことがスタートではないかと思います。自分の吃音のためにどれだけ真剣に向き合おうとしているのか、それが大事なのです。まじめで誠実に取り組むのなら、僕たちも協力したいと思います。周りがどれだけ心配しても、本人に意欲がなければどうにもなりません。そんなときには、いい意味で「所詮、他人事」と割り切ることも大切だと伝えました。

 その他、1日目夜の発表の広場では、三重県から参加した元ことばの教室担当者が、尺八を演奏してくれました。なんともいえない心に染み入るような音色でした。尺八に合わせて、参加者で「荒城の月」と「ふるさと」の歌を歌いました。その後、「寒月」を聞かせてもらいました。この尺八演奏は、新・吃音ショートコースの定番になりそうです。
 2日目は、声について考えました。声を磨くとは何か、なぜ大切なのか、子どもたちと取り組めそうなことなど、考えました。そして、みんなで楽しく声を出す演習もしました。演目は、「外郎売り」と「おかげまいりパック」。どちらも、リズムがあり、楽しい演目です。

 あっという間に2日間が終わりました。
 初参加の2人も積極的に発言し、僕たちも大いに刺激を受けました。
 参加動機に、「時間を気にせず、吃音のことをいろいろ話せる、深めることができる場があれば十分」と書いていた人がいました。まさに、そんな2日間でした。

 ぜひ、来年、ご参加ください。吃音の豊かな世界を共に味わいましょう。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/06/24

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