2026年がスタートしました~どもる大人にできること~
2026年が始まりました。
これを読んでくださっているみなさんも、新しい気持ちで、新しい年をお迎えのことと思います。今年も、どうぞ、よろしくお願いします。
年賀状の文面を紹介して、今年のごあいさつとします。
初 春
2026年
毎月のニュースレター「スタタリング・ナウ」の発行、「親、教師、言語聴覚士のための吃音講習会」や「吃音親子サマーキャンプ」、千葉や島根のキャンプ、島根県聴言研や島根の保育研究会、岡山での相談会、栃木県や静岡県、千葉県柏市での研修会、ブログやFacebookでの発信など、ライフワークである吃音の取り組みを、精一杯続けることができました。『どもる君へ いま伝えたいこと』を読んで、初めて共感できる人だと思い、会いたいと参加してくださった方もおられます。うれしい出会いでした。このように活動を続けられるのも、支えて下さる皆様のおかげと感謝しています。
明確な医療ミスで同じ場所を三度も手術をしたにもかかわらず、脊柱管狭窄症からくる坐骨神経痛が残り、肩腱板断裂の肩の痛みの再発も加わるなど、年齢相応の不調はありますが、気力は衰えていません。しなければならないこと、したいことは山ほどあります。大好きな旅も続けています。
今年も吃音に取り組むワーケーションの旅を続け、自然を満喫し、出会いを楽しみたいと思います。
今年もよろしくお願いします。
〒572-0850 大阪府寝屋川市打上高塚町1-2-1526
TEL/FAX 072-820-8244 伊藤 伸二
日本吃音臨床研究会 www.kituonkenkyu.org/
伊藤伸二のブログ kituon.livedoor.blog/
昨年に引き続き、これまでの「スタタリング・ナウ」を紹介していきます。今日は、「スタタリング・ナウ」2014.3.20 NO.235 の巻頭言です。この号では、全国難聴言語障害教育研究協議会全国大会鹿児島大会の吃音分科会での発表を特集しています。
どもる大人にできること
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二
「僕は去年の11月13日のグループ学習で、伊藤さんに会いました。伊藤さんは、大人で吃音の人です。伊藤さんは、子どものころから、20歳頃まで吃音に悩みましたが、今では吃音を気にしないで、気楽で、前向きな吃音の人です。自分のことを話してくれたり、僕たちの質問に答えてくれたりしました。グループ学習で、思ったことや感じたことをまとめたので読みます。
―伊藤さんに会えて、僕はこれまで吃音は嫌な病気だと思ったり、自分が吃音なのか吃音でないのかと思ったりしていました。けれど、伊藤さんからすごいことばを聞きました。それは、『吃音は神様からのプレゼントだ。吃音の人たちはそのプレゼントを渡す人に選ばれた人なんだ』ということばです。このことばの中で、神様ということばが入っていて、すごいびっくりしました。神様からのプレゼントということは相当すごいプレゼントなので、これからは吃音を気にしないで、前向きにみんなと楽しく、話すときはこのことばを思い出して生きていきたいです―」 5年生
2014年3月5日は、千葉市立院内小学校・ことばの教室で一年間に学んだことを発表する「学習発表会」だった。国立特別支援教育総合研究所の講義の翌日だったので、再び訪れたのだった。
吃音に向き合った経験の文章、どもりカルタ、自分の好きなことばのカレンダー、粘土のどもりキャラクターの紹介など、13人の子どもが次々とバラエティーに富んだ発表をする。それに、必ずふたりが自分のことばで感想を伝えていた。最後に、6年生がこう話し始めた。
「伊藤さんに会ったことを話します。伊藤さんは、全部自分の経験を話しているそうです。伊藤さんはどもりを恥ずかしいと思わず、明るい性格で、僕たちの質問に経験を活かした話をしてくれました。伊藤さんに会う前は、「治したい」でしたが、会ってからは、どもりは僕の一部になり、どもりに対する気持ちが大きく変わりました。『明日がある』の替え歌を歌います」
♫ 二年生になって 吃音が ひどくなって 困ったよ 明日になれば 治ると思ってたけれど 治らない 治らない とても悲しくて
♫ お母さんに相談をし お母さんが考えた 院内小のことばの教室をみつけたよ やっと見つけた やっと見つけた とても うれしくて
♫ たくさんの 仲間に出会えた つっかかってもどもっても 大丈夫 笑わない とても うれしくて 明日がある 明日がある 明日があるさ
途中からみんなも手拍子をして歌い始めた。これまでの子どもの成長を思って、保護者も担当者も泣いていた。
私が吃音に悩み始めたのも小学2年。この頃、吃音に向き合うためのことばの教室があり、仲間がいて、吃音について学んでいたら、私の21歳までの苦悩はなかっただろうと、うらやましかった。「神様のプレゼント」は私がつくった話ではない。吃音について学んだ子どもが、「昔から1パーセントの人どもってる」「選ばれてどもりになったその意味は」と、どもりカルタを作った。千葉のことばの教室の子が「神様のプレゼント」へと話を発展させて、昨年の吃音親子サマーキャンプで話した。そのことばが心に響いた京都の小学5年生が書いた作文を、岡山、静岡、群馬のキャンプ、千葉で私が読み上げて紹介したのだ。「神様」にこんな力があるとは思わなかった。
言語訓練で、あまりどもらくなった姿を見せて、「君も、がんばろう」というのは、子どもに何の役にも立たないだろう。「どもってもいい」と大人が許可を与えるものでもない。大人が明るく自然にどもり、人生を大切に生きている姿を見せる。出会った素敵などもる大人やどもる子どものことを伝えていく。これが私たちどもる大人にできることだ。全国難聴・言語障害教育研究協議会全国大会で発表された、静岡の素敵な子どもたちを紹介する。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2026/0101

