第8回新・吃音ショートコース、終わりました
10月25・26日、寝屋川市立市民会館で、第8回新・吃音ショートコースを行いました。
以前は、吃音ショートコースという名前で、さまざまな分野の第一人者をゲストにお招きし、体験学習の場として、2泊3日で開催してきました。それは、2015年の第21回で終わりました。それに代わる学びの場として、2017年1月から、新・吃音ショートコースを開催するようになったのです。
今年は、その8回目。毎回、ゆったりとした時間の中で、吃音について、自分について、考えています。終わると、なんだかとても満ち足りた気分になります。
2日間、時間はたっぷりあったと思うのですが、終わってみれば、あっという間でした。いつもそうですが、吃音の話をしていると、時間の経つのが早いです。ひとりひとりの人生に耳を傾け、自分の人生を振り返ることは、大切で豊かな時間だと実感します。吃音を入り口に学びの世界が広がっていることを改めて感じました。
新・吃音ショートコースは、ほとんどプログラムが決まっていません。当日、参加者の希望やリクエストで、プログラムを決めていきます。最初、自己紹介をして、2日間でどんなことをしようかの話し合いから始まります。
丁寧な自己紹介から始まりました。
ひとりひとりの背景、新・吃音ショートコースへの思いを知り、僕は、これから始まる時間が楽しみになりました。
金曜日の大阪吃音教室では、それぞれその日のテーマがあり、時間的制約もあるので、こんなにゆったりとはできません。
最初のセッションは、「スタタリング・ナウ」の先月号と今月号の2回にわたって特集した、シーアンの吃音氷山説について、感想を聞かせてもらいました。海外の、研究者の書いた著書の翻訳ということで、難解な部分もあったので、ひとつひとつ確認しながら、また、自分の生活と重ねながら、話し合いを進めました。吃音氷山は、吃音の問題を考えるとき、とても役に立ちます。どもる症状だけでなく、吃音の真の問題は、氷山の下に隠れているのです。シーアンは、その大部分を感情としました。一番取り組みにくいと思われる感情に焦点を当てているのです。この点が、僕たちとの違いでしょうか。みんなで、シーアンの考え方と僕たちの考え方の相違点を出し合いました。
夕食の後は、発表の広場で、西田さんが吃音に関する動画について、調べた結果と今後に向けて考えたことを発表しました。発信するということは、僕たちの弱い分野で、なかなかできていませんが、「アップされている動画を観て、高評価のボタンを押す」という西田さんの提案には取り組んでいきたいと思いました。
そして、ことば文学賞の発表の時間です。
昨年は作品がなかなか集まらず、内容的にも賞にふさわしいものがないと判断し、該当作品なしとしようかと思いましたが、担当者の熱意で再度募集し、無事継続することができました。今年は、12本の作品が集まり、読み応えのあるものが多く、うれしかったです。事前に、作者名を伏せて送られてきた作品を僕たちが読みました。そして、その中から5本選び、当日、それらの作品を朗読しました。目で、文字を読むのとはまた違った吃音の豊かな世界を味わいました。参加者で感想を話し合った後は、賞の発表です。
おそらく、ことば文学賞初だと思いますが、「吃音と恋愛」をテーマにした作品を最優秀作品に選びました。作品によっては、作者の名前がなくても見当がつくこともあるのですが、この作品は、まったく見当がつきませんでした。朗読しているときも、誰だろうと思いながら読んでいました。読み終えて作者名を知らされてびっくりでした。ちょうど、作者が参加していて、この作品の背景など、詳しく聞くことができました。
1日目が終わったのが、午後9時40分くらいでした。プログラムには午後10時までとなっています。そこまでではありませんでしたが、会場が使えるギリギリまで使いました。
(つづく)
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2025/10/28






