第6回ちば・吃音親子キャンプ 2日目
夏の暑さがこのまま続くのかと思いましたが、ちゃんと季節は移っていくようで、朝晩、涼しくなりました。ここ2、3日、気持ちのいい秋晴れが続いています。
千葉でのキャンプが終わって、大阪に帰ってきて、今月号の「スタタリング・ナウ」の編集・入稿を済ませ、金曜日は「アンパンマン」の秘密についてのお話を聞きに、明石市にある豊岡短期大学の姫路キャンパスまで行き、土日は第7回新・吃音ショートコースがあり…ということで忙しく、ブログの更新ができませんでした。いろんなことがありすぎた1週間でした。
まずは、ちばキャンプの2日目の様子から。
オープンダイアローグの金魚鉢の形式で話し合いをすすめて、1日目が終わりました。
朝は、ちばキャンプの旗を揚げ、ラジオ体操をしてスタートです。子どもや保護者が作文を書いている間、僕は、スタッフとの話し合いをしました。質問を出してもらい、それに答えていきました。
その後は、2回目の保護者との話し合いです。僕の話を聞くのが初めてという方が少なくなかったので、2回目も、質問を出してもらいました。質問には、僕自身の体験を出しながら答えるようにしています。どこでもよく出るのが、子どもが傷つかないようできるだけのことをしているという話です。僕は、この話を聞くと、これから先、周りが手厚く配慮してくれるわけではないので、比較的安全な小学校という場で、挑戦し、傷つき、失敗し、その失敗から立ち直ってほしいと思っています。配慮というぬるま湯に浸りきらないで、失敗から抜け出すことの学習をしてほしいのです。自分ひとりの力だけで抜け出すことがいいとは思いません。SOSを出して、人に助けを求めることができることも大事です。
今回、強調したのは、体験してもそのまま置いておいては、ダメだということです。体験したことがからだの中にしみこんで、経験になり、経験したことが身について学びとなるように、体験したことを振り返ることが大切だと思います。体験から経験へ、そして学びへ、です。そのために、体験したことを日記に書いたり、他者に語ります。そのときの自分の気持ちを確かめて表現することで、体験はただの体験ではなく、経験になります。体験をさらーと流さないで振り返り、検証することで、経験に、そして学びになるのです。
午後は、最後のプログラム、全体でのふりかえりでした。学習室で壁ぎりぎりまで広がって、大きな輪を作りました。そして、ひとりひとりが、このキャンプで感じたことを話していきました。
・最初は緊張し、心配したけれど、楽しかった。
・同じようにどもる人がいっぱいいて、友だちができた。参加費が安いと思った。
・ひとりの人間として向き合えるのがよかった。
・私の方が心配していたけれど、子どもは意外とすんなりと入っていって、子ども同士のかかわりができていた。信じていこうと思った。
・自分ひとりでは分からないことに気づくことができた。ネガティブにとらえていたが、非認知能力のことなど考えていけば、視野が広がっていくと思った。
・強い味方がこんなにたくさんいることが分かって、心強かった。
・同じようにどもる子がいっぱいいて、安心した。自分だけじゃなかった。
・我が子の意外な一面をみつけた。社交的なところもあると発見した。
僕が最後に、「来年も生きていたら、またちばキャンプに来ます」と話したら、間髪を入れず「生きてますよ!」とひとりの子どもが言ってくれました。絶妙なタイミングでした。
こうして「吃音の秋」のスタートである、ちば・吃音親子キャンプが終わりました。待っていてくれる人がいるということは、本当にうれしいことです。21歳まで、吃音に悩み苦しんだ僕へのご褒美のように思えました。
ちば・吃音親子キャンプは、渡邉美穂さんが中心ですが、たくさんのスタッフが参加し、支えてくれています。日頃のチームワークの良さも感じました。いい仲間といい時間を過ごしました。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/10/14





