映画「189」~“いちはやく”救い出すために~
先日、寝屋川市民会館で映画の上映会と講演会があり、行ってきました。
映画のタイトルは、「189」。数字が3つ並んでいる、珍しいタイトルです。サブタイトルから、この「189」が、「いちはやく」ということだろうとは想像していました。映画終了後に説明がありましたが、これは、児童虐待に対応する児童相談所虐待対応ダイヤルで、24時間365日対応している、110番や119番と同じものでした。110番や119番と同じくらいに知ってもらいたいと作られた映画でした。
この映画のことは、偶然知りました。チラシから、あらすじを紹介します。
児童相談所虐待対策班で働く新人児童福祉司の坂本大河(中山優馬)は、ある日、シングルマザーの母親に虐待され、一時保護所にいた4歳の藤沢芽衣を母親の元に帰す現場に立ち会う。
翌日、大河は芽衣がなくなったと知らされショックを受ける。上司の安川(前川泰之)から休養を取るように言われる大河だが、生前の芽衣が「家に帰りたくない!」と訴えていた姿を思い出し苦悩した末、辞表を手に職場に向かう。そのとき、父親にひどい虐待を受け、病院に搬送された6歳の増田星羅(太田結乃)の元へ向かってもらえないかと職場から電話が入る。病院で面会し大河に星羅は、「いまのパパはいらない…家に帰りたくない」と告白する。父親の勝一(吉沢悠)は、星羅の傷は「娘が自分でやったこと」と虐待を否定。大河たちが星羅を一時保護すると告げると、「星羅は私の娘だ!連れて帰る!」と怒鳴り出す。医師から星羅の傷は、虐待によるものである可能性が高いと聞かされた大河は、星羅を一時保護所に預け、弁護士の秋庭詩音(夏菜)と共に虐待の事実を立証し、勝一と妻の典子(灯敦生)の親権を停止にできないかと奔走するのだが…
かなりショッキングな場面も多く出てくる映画でした。新聞やテレビなどの報道では、虐待の件数や人数など、数字を示されることがあるのですが、数字ではなく、その一件一件の具体的な場面が描かれていて、その悲惨さとともに、周りの大人として何ができるか考えさせられる映画になっていました。
上演後の講演の講師は、自身の虐待経験から「児童虐待の予防」に向けて活動されている島田妙子さんでした。両親の離婚、継母と実父からの壮絶な虐待、児童養護施設入所と何度も命を落としかけた経験を語りながら、明るく前向きに、僕たちひとりひとりにできることを投げかけてくださいました。
改めて、僕は、僕のできることを、精一杯続けていこうと、決意を新たにしました。
2021年に制作され、2週間ほど上演されたという映画、いい映画でした。どこかで上演されていたら、ぜひ、どうぞ。「189」の番号とともに心に留めておいていただければと思います。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2024/10/01